泣いてもいいんだよ、

気力はさして出ませんでしたがそれを越えるほどに『ドントクライ、ガール』がおもしろかったので感想を書きます。

ネタバレあり?

ドントクライ、ガール (ゼロコミックス)

ドントクライ、ガール (ゼロコミックス)

 

 この漫画が受け入れられないという方にとって大きいのは

・説明不足

・ギャグが寒い

の二点でしょうね。個人的にはこの作品においてはどっちも「そういうもの」だと思います。

 一点目に関しては、一ページ一コマ目から既に「ああ説明する気一切ないんだな」と(私は)思ったので気になりませんでした。そしてそれによって作品の価値が上がるとかいうわけでもなく単に作者が(そして読者も)面倒だからってだけだろうなと。そもそも私が説明不足・放棄や伏線の放置(この漫画に関しては私は上記のようにそもそも伏線でもなく説明する気もなかったと捉えているんですが)が殆ど気にならないからというのもあるかもしれないです。期待してないところにうまいこと説明を付けてくれると感心はするけど、なかったからといって特になにも思わない。これは根本的には一発ネタのギャグ漫画だしなあ。ああーでも説明がちゃんとあったら5話もっと心打たれたかもしれない……。そして升田さんが裸になるチャンスが如何なるものだったのかは個人的にちょっと知りたい。

 それに対してギャグがダメというのは実感としてよく分かります。私は気になる以上に面白いからいいけど、これダメな人は本当にダメだろうなという感じです。ノリが腐女子というと偏見ですが、あの、オタク女子特有の銀魂っぽい口調に近いものを感じる(銀魂読んだことないのでイメージが間違ってたら大変申し訳ないです)ので、万人に受け入れられるものじゃないだろうとは思いました。でももともとBL出身だしそういうノリがあるのは仕方ないのでは……というのは失礼に当たるのでしょうか。

 

 あとAmazonのレビューなどを読んで思ったことをいくつか。

・「白い」っていうのは言われて初めて気がついたけどそういやそうだな。楠木坂コーヒーハウスのUKさんも(多分これじゃなくて『HER』の感想だったと思うけど)「白い」って言ってた、そう言えば

・「恋愛要素がいらない(もしくは唐突過ぎる)」っていうのは至極もっともな指摘だと思うけど、私は火のないところに放火する妄想が大好きな類の人間なので、あの展開はすごくよかった。正直言ってときめいた

 

 面白かったと言いつついいところをあまり書いてないですね。

 まず個人的に絵はかなり好き。いかにも女性作家の描く女性向けの絵、という感じではあるけど好きです。Amazonのレビュー読むまで気付いてなかった癖に言いますけど、「白い」のもいいです。白い方が好きです。と言いつつ描き込み魔こと森薫先生も大好きですけど、個人的な好みに近いのはヤマシタトモコです。

 あとくっだらない下ネタが大好きなので好きというのもあります。ただ陣内は全体的にやりすぎというか狙い過ぎではないでしょうか。でもクラブでの升田さんとの出会い方が最高だったので許します。

 根っからの悪人が出ないのもいい。升田さん(や陣内)のデリカシーのなさなんかはもう罪であると言ってもいいレベルなんですが最終的にたえ子ちゃんが受け入れてしまったので不問とします。たえ子の両親の情報がほとんど出てこないのも、この観点から言えばよかったのかもしれません。断片的な言及を見ると「根っからの悪人」ではないにせよ罪(犯罪ではなく)になる程の馬鹿だったみたいなので、ちゃんと描写されていたら私はたえ子ちゃんの両親に腹を立てて本を壁に投げていた危険性があります。

 5話・6話は私はすごく好き。「うん?でもギャグだよねこれ?」と薄らと疑問を感じながら笑っていたところへの「…きみが泣かないからじゃないか……」が大変に良いです。でも全裸。最終話最高なんだけどどこから書けばいいんでしょう。とりあえず百合香ちゃんと美晴ちゃんのリアクションがとてもよい。Genius。「全然君に届かないしマリンブルーの風にも吹かれずときめかないトゥナイト」とのことですがめっちゃ届いてるし吹かれてるしときめくんだけどわたしとちくるってるかな???????

 そしてやはり最も素敵な台詞はこれ

「いいこと!?たえ子はあたしたちの星(エトワール)いいえ花(フルール) たえ子の肉体に負担をかけるような変態プレイを強要でもしたらただじゃおきませんよ」

「17で嫁にゆく娘の気持ちをよくお考えなさい 人一倍幸せにしなければ もし浮気でもしようもんならいちもつを切りとって己の菊門にぶち込んだ挙句アロンアルファで接合してくれるわ」

特にアロンアルファのくだり超使ってみたい。