レミ・マルタン
父と祖父に送るためのチョコレートも、自分用のチョコレートも購入済みであるにも関わらず、近所のスーパーに陳列されているレミ・マルタントリュフを見るたびに少し心が揺れます。
でも、レミ・マルタンを買うことはなんだか気恥ずかしい気がするのです(買うのはレミ・マルタンではなくレミ・マルタントリュフですが)。飲んだこともないし、買ったこともないし、もっと言えば見たこともないのに。原因ははっきりしています。村上龍の「半島を出よ」のこの台詞です。
雑誌とか読むと将軍様は、車はベンツ、時計はローレックス、ブランデーはレミ・マルタンでしょ?
問題は「将軍様が飲んでる」ことではなく、「一番名前が知れてて高価ですごそうなの選んで満足してるけど、無知だからとりあえずそれを選択しているのであって、そのものの良さを知っているわけでは全くない」んでしょ将軍様は、という意図がこの台詞(とその前後)に込められていて、しかもそれを、恥ずかしいよね、とちょっと上から馬鹿にしていることです。よく知りもしないくせに見栄はってこういうの選んじゃうのはただの馬鹿なミーハー、と言われたような感じがします。
ピエールマルコリーニでもジャンポールエヴァンでもなくゴディバを選ぶ感じでしょうか。ああでもこの二つも世間一般での立ち位置はそれほど変わらないんですかね。私が高級チョコレートに詳しくなくて、ゴディバ以外の高級チョコレートの存在を知ったのが5年前くらいだったのでこう思うんでしょうか。
こういうどうでもいいことを考えながら、レミ・マルタントリュフを30秒ほど凝視したのち、結局買わずに通り過ぎます。
どうでもいいことですが今日は初めてタイトルを付けてみました。タイトルを付けるのは苦手です。昔は、あまりにそのままでつまらないタイトルはどうかなぁと思いつつ、ひねったのを付けるのがとても恥ずかしいような気がして、結局「修学旅行の思い出」みたいな無難なタイトルの作文を量産していました。