時代

作文 - もののはずみ

上記で言うところの「美しい人妻」(以下Xさん)と「先輩(男性1)」(以下Yさん)が仲違いした。

私はもうかれらのいる部署を離れていて、というより仲のいい人たちで今もその部署にいるのはこのふたりだけになっていた。

3月末、私は職場近くの神社に行って、「来年度私の身に何が起こっても耐えるので、XさんとYさんが今の係を出て平和に仕事ができますように」と願掛けをした。で、本当に今後悔しているのはこの後に「私一人の不幸で救えるキャパが一人ぶんしかないのなら、Yさんを優先してくれ」と付け加えたことです。

なぜならXさんは女性で、綺麗で、みんなが彼女を大事にしていたけど、Yさんはみんな彼のことを好きだったけど多少手荒に扱っても大丈夫と思ってあんまり大事にしていなかった(と私は思っていた)ので、同じくらい大変な境遇にあってもXさんならみんなが彼女を助けてくれるだろうと思ったから。あと、Yさんはずっとそういう目にあっていたし、私がいた時も私のお守りをはじめとして色々と胃の痛くなるような役回りをして気の毒だったのでそろそろ何の心配もないポジションに行かせてやってくれと思った。

そうしたらXさんもYさんも別々の係に行った。めちゃくちゃびっくりした。状況から行って少なくともふたりともが当時の係を出ることはありえないとみんな思っていた。私もそう思っていた。

Yさんは私の望み通り恵まれた係に行った。Xさんはそうではなかった。ここまではある程度想定の範囲内だったけど、Xさんの周りの人が誰も彼女を助けないことは想定していなかった。上司も前任者も同じ係の係員も全部だめ。上司は仕事はまあできるけど管理職としての意識がゼロで、きっと「管理職は部下のマネジメントをしなければならない」と誰も教えてくれなかったんだろうと思う。あとの係員はサボタージュと、悪い人ではないけど自分の仕事で手いっぱいで彼女のフォローをしてやれるほどの余裕がないという人たち。前任者はまあ有能ではあるけどこれまでの数年この環境にいて荒んでしまって彼女を助けてやろうという気はまるでなし。

私ももうそこにいないし、他に仲良くしていた人たちも異動しているし、Xさんの傍にいる味方はもうYさんしかいなかった。そのYさんも部署は同じだけどもう係が違うし、誰も助けてくれない(上司は助けてくれないどころか困ったら係員を盾にするタイプ)中でYさんが周りに恵まれて楽しそうにやってるのが、悲しい?羨ましい?妬ましい?と無意識下で感じていたんだと思う。

それで、何度かXさんはYさんに理不尽にひどいことを言ってしまって、Yさんは優しくて人間のできている人で彼女の置かれた状況のこともよく理解しているから数度はうやむやにして許していたけれど今回とうとう怒ってしまった。それは当然のことだと思う。むしろ今までよく怒らなかったと思う。

だって今まで一番Xさんのことを真剣に心配して悩んで仕事だって手伝っていたのはYさんだったのに、怒らなかった数度だって自分もひどいことを言われて傷ついて内心不満に思いつつもそれでもまだXさんのことを心配していたのに、Xさんはそんなこともわからなくなってしまったのだろうか。

Xさんはどういうわけか私のことをすごく好きでいてくれているみたいだから時々連絡するけれど、その度に気を遣ってくれてありがとう、心配させてごめん、いつも励ましてくれてありがとうって言ってくれるけど、Yさんは私よりずっとXさんのことを気遣って心配して励ましていたのに、そのことを分かっていないんだろうか。