もう後がないやつらのため

今週のお題「行ってみたい時代」

 とてもとても好きだった先生の若い頃を知りたい、と反射的に思ったけどよく考えると違う。

 かつて友人に降り掛かった通り魔的な悪い出来事を聞いて、どうして私ではなかったんだろう、どうして私は助けられなかったんだろう、どうしてせめて私は一緒にいられなかったんだろう、と思ったことがある。そのどれもが到底無理な話だった。だってそれは私と友人が出会う何年も前(それこそ一回りほども前)に起こったことだったので。

 その出来事が友人にどれほどの影響を及ぼしたのか私には分からない。それを話してくれた時はいかにもなんでもない風に喋っていた。が、私はその友人自身とは違って人の心の機微を読み取る能力が本当にだめなので、それが本当になんでもないからなのかそれとも私に気を遣ってそういう風に振る舞っているの自信を持って断定できなかった。なんとなく後者のような気がしてならなかったが、友人を上からかわいそうなもの扱いしたいというような私のおつむの在り方によってフィルターがかけられているせいのようにも思われた。どちらにしろ本当のことは分からない。

 とにかく、彼女が遭う必要のないひどい目に遭ったことは確かである。それが私には大層つらいので、そこへ行って助けることができればいい。彼女を助けるためでなく私のつらい気持ちをどうにかするために。