モブにすらなれない

 先日イケメンと知り合いましたがそのイケメンさに全くといっていいほど心動かされず、ブスとして正しい道を歩んでいるな……!という気がしています。同じような方には分かっていただけると思うのですが、もてないブスにとって全くそういう気のない人に「おっこのブス自分に気があるな」と思われるの(と同様、外野に「うわっあのブス○○さんに気があるぞ」と思われること)は全力で避けたい出来事のひとつですので、それを避けるためにその方面に関する感覚がだいぶ鈍化しているのでしょう。ブスでもてないと自意識が相当に過剰にはなるのですが、それは多分普通の人が想像する「ブスでもてないので自意識過剰になった」というのとは結構趣が違うのではないでしょうか。

 しかしイケメンの人生は未知過ぎます。いくらブスと言えども美女と性別は同じなので綺麗な女の人がどのような生活をしどのような人生を歩むかについては比較的想像できるのですが、綺麗な男の人については何も分かりません。男性のみの集団の中でのイケメンの扱われ方とかさ。まあそもそもイケメンとか関係なしに男の人のことはよく知りませんが。

 ここまで書いて、「心動かされず」と書いている割に相手がイケメンであることを認識し、それに心動かされないことを意識する程度には心動かされているのでは?それは「全くといっていいほど」とは言えないのでは?本当に心動かされていないなら一切何の感慨も覚えないものでは?と思いました。訂正します。「わあイケメンだなあ目の保養になりますなあ」と思うくらいには心動かされました。ときめくとか憧れるとか仲良くなりたいとか付き合いたいというような感情が一切湧かないだけで。

 自分に恋人がないくせによそにカップルを成立させた一件のときも考えましたが、もてない使えないつまらない頭の悪いブスとして生きるというのは「自分は決して当事者になり得ないと自覚し、当事者になろうなどと考えすらしなくなる」ということだなと思います。そうでない人から見ればさびしいかわいそうな人と見えるかもしれませんが、一生外野で傍観者というのは諦め切ってしまえばそれはそれで楽しいし何より傷つかなくて済みます。恋愛とか特にそうですけど、フィクションを鑑賞するだけでもつらい気持ちになるのに普通の人はよくあんなことをやれるよなあと思う。

 こうやって書くと本当にかわいそうな人以外の何物でもないですね。でも今そこそこ楽しく暮らしているのでちゃんと大丈夫です。ほんとに。