象の消滅の消滅

 「お父さんもお母さんも平均以上にコミュニケーション能力があるのに、どうして私は」より、「お父さんもお母さんもスポーツの心得があるのに、どうして私は」より、「お父さんもお母さんも無駄毛が薄いのに、どうして私は」が一番深い悩みです。

 いわゆるところのインテリジェントなデザイナーとやらが「こいつどうせ異性の前で裸体を晒すこともないだろうから毛深くても構わないだろう」とでも考えたんですかね。まったくその通りなのが腹立ちますね。構わないことはないけど。泊まりの旅行に行く時とか下着を買いに行く時とか超構う。

 こんなことを書くとハルキストに殺されそうですが、無駄毛処理をするときよく「午後の最後の芝生」を思い出します。無駄毛処理って植物や樹木の伐採を思わせるんですよね。熱帯雨林の消滅。多分毛深い人にしか共感してもらえないだろうけど。

 私がこの作品を最初に読んだのは『中国行きのスロウ・ボート』に収録されていたのだったけど、『象の消滅』にも収録されていることにさっき気がついた。『象の消滅』なら持ってる!でもここ数年行方不明!ということでちょっと探してみたけどやっぱり見つからなかった。そして『カンガルー日和』も行方不明になっていることに今気がつきました。戻ってきてほしい。とくに象の消滅