あはれ花びらながれ

 私が崇拝している方がある芸能人(少なくとも美男ではない)に似ている、と言っていた人を見かけて、お前……お前……と思ったりした。そう言われたらちょっとだけ似てるかもと思うからこそ余計腹が立つ。

 いつかその方にお礼を言いたい、とずっと考えていたけれど、正直言って直接お世話になったことはあまりないのでいきなり「あなたのお陰で救われました。ありがとうございました」とか言っても引かれること間違いなしである。私のほうは一生「あの方のようになりたい」とか「それは無理だろうからせめてあの方に恥じることのない人間になりたい」とか考え続けるだろうけれども。

 困らせたいわけではない——いや私のせいでその方が困惑するという状況に正直少し魅力を感じないでもないけどそんなことは許せないという気持ちのほうが大きい——し、このまま何もしないのが一番とわかっている。ある種のお礼や謝罪というのは結局自己満足であって今回のはまさにそれである。本当に感謝しているのなら私のようなものの存在が相手の記憶に残らないように配慮するのが最良だと思う。でも、この方に限らず素晴らしい人格者に出会うといつもそうなのだけど、その素晴らしい人生に私という一点のしみくらい着いたっていいじゃん、許してくれよ、とついそういう風に考えてしまう。いくら汚くてもどうせ私の存在なんて矮小で、XLサイズの真っ白なTシャツに着いた1nmのしみくらいにしかならないのだし。

 酒を呑んでるからいつもにも増して気持ち悪いな(言い訳)。もうやめよう。