あなたを想ってごめんなさい

 もし万が一ご本人の目に触れたらきっと気持ち悪いと思われるにちがいないと分かっていながら書くけど、その方が大学生の頃から一方的に知っていた方がこの度お子さんを出産されて、ひっそりとおめでとうございますと思うとともに時の流れの速さを感じる。あの頃私は中学生だった。

 誰かの生き方をモデルとするような時代は終わったといつか村上龍は言ったけれど、私は未だにそういう時代の中にいて、この方もそういう人のひとりだった。だった、というか現在進行形だけど。そうは言っても生き方のすべてをなぞろうというのでなく、ものの考え方や感じ方をとても素敵だと思ったのだった。

 そういえば何をそんなにいいと感じたんだったっけと振り返ってみたところ、あらゆる人・ものに対していいところを沢山見つけ出して素直にいいなと思え、それを発信できるというところだったんだろうなと思う。今はなくなってしまったその方の昔のサイトにはそのような周囲の人々の素敵なところや、それを受け取ったご自身の心の動きが丁寧に書かれていてとても面白かった。「丁寧な」などと書くと、なんとなくこう「自然派のていねいな暮らし」みたいなものが連想されてくすぐったいが。

 その方を知ってすぐの頃から「この方は将来どんなご家庭をつくるんだろう、きっと素敵な家族に違いないな」と思っていた。だからたんに知人に家族が増えて祝福したくなるのに似た気持ちだけでなく、未来に期待するような気持ちもある。見ず知らずの、存在すら知らない他人にこんなこと言われてもちっともうれしくないどころか気持ち悪かろうとは思うけど、それでも、おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。