くじらを探す旅

 昨日は友達二人と飲んだ。楽しみ過ぎて家を出る2時間くらい前から粛々と支度を始め、30分前に待ち合わせ場所に着いた。我ながら可哀想。ウコンの力を買って颯爽と一気飲みしてホームのゴミ箱に容器を捨てる。в киоске.

 今までの面接で聞かれたおもしろい質問のネタのひとつふたつは私も持っていたのだが、友人Xのヘビーな面接体験談の前では霞んでしまった。プライバシーに関わるので詳細は秘しますが、友人と一緒に集団面接を受ける予定だった人たちが軒並みキャンセルだったために彼女一人でかなり長い時間面接されたらしい。私だったら吐く。

 友人Yがとても綺麗なピアスをつけていたがそれを褒めるより先にふなっしーのパスケースを指摘してしまった。こういうところが駄目なんだと思う。Yと二人でXをかわいいかわいいといちいち言っていたら怒られた。

 最初の店を出て外をうろついている時にXの男女交際の話になり、随分前から考えていたのもあって「もしどうしても彼氏が欲しくなって私でもいいからすがりたくなったら連絡しなよ、すごくいい奴なのに彼女がいなくて次第に荒んできた男の人知ってるから」と言った。そしたら想定外にその場で連絡する流れになってしまった。酔っているのもあって「もうこの場で電話しようかな」と思ったけどしなくて本当によかったと思う。

 酔っているが故の勢いということは自覚していたし、多分その時点で自分が想定する以上に失礼なことをやっているのだろうと思ったのでいつもの1.5倍くらい謙った文面でメールを書いた。めっちゃいい奴Z君にとりあえず彼女の有無を聞いた。

 Z君は私の知る限りここ数年彼女がいなかったっぽいが、プライベートに踏み込まれたくないから言わなかっただけかも知れないし、或いはここしばらく会っていない間に彼女ができたことは十分に考えられた。Z君はリア充であり超いい奴であり、見た目も結構格好良いと思う。総合的に言ってかなりスペックは高い。ただ私を含め周囲の女性全員が「いい人だけど好みではない」という意見で一致していただけなのだ。ここしばらく卑屈さを増したり仙人を目指すと言い出したりして私たちは結構真剣に心配していたのだ。Xとうまくいかなかったとしても早く彼女を作って欲しい。何箇月か会ってないからいいけど、飲み会で彼が男とポッキーゲームをするのを私はもう見たくない。このままだと卒業コンパでまたあれを見ることになるかも知れない。辛い。私は「弥子が今後幸せでありますように」と祈るのと同じ気持ちでZ君の幸せを祈っている。

 私からの愛の告白だと勘違いされたら全員が不幸になるのでそうでないことは断っておいた。自意識過剰だと言われれば返す言葉はない。そもそもいきなり彼女の有無を聞かれたら私からの愛の告白だとは思わなくても不審だし警戒するだろうと思ったので主目的も付け加えておいた。

 外をうろついている間はZ君からの返信はなかった。私は、今は酔っているからいいけど次の朝目が覚めてから返信があったら精神的に相当辛いだろうなと思った。しまったなと思い始めていた。幸いカフェ(と書くようなお洒落な人間でないので喫茶店と書きたい所だが、どう見ても「喫茶店」でなく「カフェ」と呼ぶにふさわしい店だったのでそう書く)でくっちゃべっているうちに返信が来た。Z君は彼女がおらず、Xに会ってみたいと言ってきた。おい。彼女がいないのはいいとして、私(しかもアルコールが入っている)の仲介で自分の知らない女にいきなり会ってもいいのかよ。どんな地雷が来るか知れないんだぞ。大丈夫かよ。いやXは地雷ではなく大変よい女の子であり、それを分かっているから引き合わせようとしているのではあるけど、そんなに簡単に私を信用して大丈夫かよ。

 まさかこんなに進展すると思っていなかったので今後のことを考えていなかった。その場で検索すると、こういう場合は紹介者とその恋人、引き合わせられる男女の計4人で飲んだりするのが一般的らしい。私に彼氏はいない。男友達もいない。絶望である。というか何故その状況でお見合いババアをやろうと思ったのか。

 XはZ君の意向を確認したいとのことだったので、Xの情報を小出しにしつつどうしたいか聞くメールをZ君に送った。Z君は現時点では彼女がいないにせよちゃんとお天道様の下を歩いてきた人だしいない歴=年齢じゃないみたいだし異性の友達がちゃんといるどこに出しても恥ずかしくない立派な成人男子なので、こういう場合の正解はちゃんと分かってるのかも知れないと思った。ちなみに特に書きませんでしたが、私が送ったメールの文面は送る前にXとYの検閲を通っています。

 結局XとYと別れるまでZ君から返信は来ず、ああーなにやってんだろうと思いながら家に帰って布団を敷いた頃にメールが来た。俺もこういうのほとんどやったことないから普通どうするかはわからない、ごめん、というようなことが書いてあった。私にはそのほとんどすらねえんだよこのリア充がと思わないでもなかったけど彼なりの謙遜だとは理解していたしそもそも私が全面的に悪いので怒りをおさめた。謙遜だとすら思ってないんだろうな。彼の属するリア充の世界は数年彼女や彼氏がいなければ喪男喪女と呼ばれるようなところなんだろう。想像したら腹が立ってきた。しかしZ君は全く悪くない。

 鯨ベーコンが見つからない話をしようと思ってこのタイトルをつけたのに鯨ベーコンに辿り着かなかった。とりあえずXもYもZ君も全員幸せになって欲しい。そしてできればZ君は泥酔して男と絡まないようにして欲しい。酔うと人にお酌をしまくる後輩の女の子に困っている時に「まさかAちゃんのお酒が飲めないわけないよね」って横から言ったのは本当に悪かったし土下座して謝るから。

 今はとりあえずXとZ君がメールのやり取りをできる準備は整えました。

 

 学校の友達の間でおもちゃにするわけじゃないので安心して、と言った手前Z君との共通の友人には話ができず(許してくれる気はするけど)、ワールドワイドウェブで公開しないとは言ってない、と思ってこれを書きました。全員ごめん。

 

追記:Z君のことは書いた覚えがある、特にポッキーゲームの下りは絶対書いた、と思っていたらやっぱり書いていた。


もうやめて!! - もののはずみ

この時点で既に「見ていて辛いので女の子を紹介したい」と言っている。私よ、ついにやってしまったぞ。