パラダイム・シフト

 初めてお会いした時に、「割といい人っぽいけどそれ以上に変な人だな」という印象を持った方に久しぶりにお会いした。すると、なぜか完全に恋愛感情的なベクトルでのときめきを覚えてしまった。何でなのかさっぱり分からない。

 外見は全く好みではないし髪型は変だ。明らかにイケメンにしか許されないであろう挑戦的な髪型をしている。スーツは着ているけれど私好みのスーツ姿でもない。ネクタイピンをしているのはかなり高得点ではあるが。

 ただ間違いなく言えることは恐ろしくいい人であるということです。

 

 私の異性観に大変革をもたらした男性以来、恋愛感情的なときめきを覚えた人は当人を含めて二人目である。なので何が私の琴線に触れるのか、自分でもよく分からない。一体私はこの人の何が良いって言うんだろう、と思って、そして自分の琴線を探る為に、最初の方とこの方の共通点を考えてみた。

 まず過剰なまでにいい人であるという点。明らかに、「そこまでしなくても誰も貴方を責めたりしないでしょうに」というレベルを超えて親切かつ寛容である。

 外見は特に私の好みではない。客観的には「極普通」と評価されるような、一目惚れする女の子もそういないけど、容姿を理由に嫌う女の子も殆ど居ないだろう、という感じの、特に印象に残らないような見た目。

 そして頭は少なくとも悪くない。両者共に学問に関わる仕事をしていらっしゃる。特に最初の方はかなり有名な大学の出であった。

  それに加えて二人ともちょっと変だ。面白い話をしてくれるのだけど、当人が思っているような方向性では面白くないのだ。こちらにとっては何が面白いのかよく分からないことを面白いと思っている当人達はとても面白いのだけど…。

 

 ここら辺まで考えた辺りで、どうも私の予想とは違うらしいことに気が付いた。私は、自分でも意識していない何らかの絶対的な基準があって、それにこの二人が引っかかったのだと思っていた。だからこの二人の共通しているところをはっきりさせれば私の好みが分かるだろうとこうやって考えていた訳だ。

 でも、多分そうじゃない。私がこの方に好感を持ったのは最初の方に似ているからだ。最初の方を好き過ぎて、その方がそのまま私の絶対的な理想になってしまっている。

 やべえ…私永遠にCさんの代わりを探す果てしのない旅を続けなければならないじゃないか…つうかきもい