私もうあのひとのこと全然好きじゃない

江國香織の「落下する夕方」を、小学生の頃から何度も何度も、それこそ数えきれないくらい読み返しているのですが、

何が面白いのと訊かれると困ります。そもそも面白くて読み返しているのかどうかわかりません。もはや好きなのかすらわかりません。惰性か?

 

趣味を訊かれるとたいてい読書と答えます。それ以外にめぼしいものが無いし。

事実私は活字狂でした。高1くらいまでは。

私の高校生活は大変忙しいものでしたが、それまでそうしてきたように、当初私は何とかして本を読もうと努力しました。ツヴァイクの「マリー・アントワネット」が面白すぎて電車を乗り過ごしたり、風紀検査の待ち時間にみんな小テストの勉強してるのに「収容所群島」読んだりしてました。しかしあまりに忙しかったため、私はついに読書を諦めました。大学受かったら読もう、それまで我慢して勉強しよう、と思って。

ですが、読書の無い生活、意外と平気でした。順応してしまいました。

あれ、私、別に、活字無くても、死なない?と、気付いてしまいました。文学部入った後に。

あんなに好きだったのに。これ以外に道は無いと信じていたのに。あなたなしでは生きてゆけぬと思ってたのに。私の唯一の拠り所が、本当は最初から存在しなかったなんて気付きたくなかったのに。

 

と、絶望的なムードを醸し出してしまいましたが、これを書いているうちにまた収容所群島を読みたい気分になってきたのでまだ希望はあるかもしれません。